会頭挨拶


  • 第31回日本保育保健学会inえひめ
    会頭 井上 哲志

    謹啓

     時下、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
     2025年5月10・11日の2日間、愛媛県医師会館を会場に開催する本学会では、『地域で子どもを育み、家庭を支える ~保育・教育/保健・福祉/医療の連携~』をメインテーマに掲げ、「子どもの育ちと学びを見守るフロントライン」である保育所を中心に、医師・歯科医師、教育・福祉・行政の関係者が一堂に会して研鑽を深めます。

     我が国では猛烈なスピードで少子化が進んでいます。平成29年に年間出生数が100万人を切り、令和5年には75.8万人(うち日本人は72.6万人)にまで減少しました。
     一方で、1歳以上の保育所等利用率は昨年には60%近くとなり、特に1・2歳児の保育所等利用率は過去10年間で24ポイント増加しました。幼児期早期は感染症に罹患しやすく、食物アレルギーの罹患率も高く、さらに就学前に様々な発達特性を示す子どもたちに適切に対応し、また児童虐待の可能性のある子どもと家庭を温かく見守るためにも、小児科医にとって保育所との連携は必要不可欠です。
     令和5年4月に「こども家庭庁」が設置され、「こども基本法」のもと次々と関連政策が打ち出されました。令和5年12月に閣議決定された「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン (はじめの100か月の育ちビジョン)」は、『特別な支援や配慮を要するこどもであるか否かにかかわらず、 どのような環境に生まれ育っても、また、心身・社会的にどのような状況にあっても、多様な全てのこども一人一人をひとしく対象として』示されたもので、『生涯にわたるウェルビーイング向上を図る』ことを目的とし、『社会全体の認識共有を図りつつ、政府全体の取組を強力に推進する羅針盤として位置づける。』とされています。

     このビジョンは、日本保育保健協議会が目指すところと見事に合致しています。「こどもまんなか社会」の実現に向けて、多職種連携を強みとする我々だからこそ大きな役割を果たすことができると確信しています。本学会では上述のメインテーマのもと、県内外から講師をお招きし、開催概要に記しますようなプログラムを立案いたしました。一つ一つのプログラムを通して多職種連携の輪が拡がり、子どもたちのウェルビーイング向上に結実するよう切に願っているところです。
     皆様におかれましては本学会の趣旨をご賢察の上、本趣意書をご参照いただき、ご支援・ご協力賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

    謹白